はじめに

今回は、教育学部の教授と教員の考え方の違いについてです。先日このような記事が発表されました。教育学部の教授に小中高教員経験者、起用を義務化…文科省方針 (msn.com)
記事によれば、「教員経験者が仕事の魅力や学校の様子を伝えることで、学生に仕事の具体像をイメージしてもらう。深刻化する教員のなり手不足の解消や若手の離職防止を狙う」のが目的だそうです。
文科省からこの発想が出てくるあたり、やはり研究者と教員との間には隔たりがあるように思います。理論と実践の違いでしょうね。同じ教育学部の中でもこれだけ違いがあるならば、教育学部とそれ以外の人とでは、さらに考え方に違いが出ているのでしょう。
私は非教育学部出身者ですが、その間点から思うことを述べていきたいと思います。
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ロリポップでブログをはじめるそもそも大学教授と小中高の教員は同格なのか
結論から言えば、私はわざわざ小中高教員経験者を教育学部教授に起用することを義務化する必要はないと考えています。その理由は3つあります。
1,大学教授と小中高教員の求められるスキルは違う
大学教授も学内で学生に講義をしたり、ゼミを行ったりします。教員も同様に児童生徒に対して授業を行います。
しかし、ここで決定的に異なるのは大学教授はあくまで「話を聞くことを前提としている学生」に授業を行うということです。小中高では、「自分は話を聞きたくないけれど仕方ないからここにいて授業を受けている」という子どもたちが数多くいます。
自発的に話を聞いてくれる学生にする話と、聞きたいと思っていない子供に強制的に話をするのとでは、大きな差があります。
したがって、求められるスキルが違うのにそこを十把一絡げにしてしまうのはいささか厳しいのではないかと思うのです。
たとえて言うならば、「料理研究家は必ずしも凄腕のコックではないし、その逆もしかり」ということです。
2,大学の専門性の定義が曖昧になる
学校教育法には、大学の定義がこのように記されています。
【学校教育法】
第五十二条 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/003/gijiroku/attach/1414357.htm
第五十三条 大学には、学部を置くことを常例とする。ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。
第六十五条 大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする。
しかし、このように定義されているにもかかわらず、学術の中心として機能すべき大学が就職予備校のような役割を国から求められているというのは、他の分野からも聞こえてくる声ではあります。先に述べた目的で元教員が大学教授をすることになった場合、「大学の予備校化」はさらに加速すると言えるのではないでしょうか。
3,教員個人に付随する属性の違いを無視している
民俗学では、聞き取り調査をする際に、聞き手を若い女性、若い男性、高齢の男性、高齢の女性というように複数の属性の人にして、同じ人に同じ話をしてもらいます。そうすることで、相手の対応の違いで得られる様々な情報を基に話を再構成できるというメリットがあるからです。
このエピソードは教員をする上でも必要な視点だと感じています。なぜなら児童や保護者も前述の聞き取り調査と同様に相手によって態度を変えるからです。
これらの考えを踏まえると、大学教授になるであろう教員経験者は、教育現場で成功し、酸いも甘いもかみ分けたベテランになることが想定されます。すなわち、若手などの立場が弱い人とは対局の位置につくことになります。
果たして、教育業界で「強者」のポジションの人が大学で増えることによって、これから教育業界で弱者として入っていく教育学部の学生にどのような影響があるでしょうか。答えはもう見えていますね。
必要なのは専門機関と現場との円滑な結びつき
もちろん、教授に起用するのを義務化することに疑問を呈しているのであって、現場の教員が大学の教授になることを反対しているのではありません。
本当に必要なのは、専門的な機関で研究された実践事例がより早く現場に降りてくることであったり、現場でのトラブルや、困りごとに対して相談できる機関として大学と連携するなどの連携であると考えています。
おわりに
以上、新たな教育法やスキルを開発するのが研究者の職務、それらの知見を基に、現場の実態を見取り、実際に指導をすることが教員の職掌と考えるならば、研究者と実践者で求められるスキルが違うことは当然のことで、あえてそこを混ぜる必要はないのではないかということを述べてきました。もし、本当に教員経験者を教育学部に起用するのであれば、実践事例だけではなく、きちんとした査読付きの論文なり、学位を求めるなりする必要があるように感じています。
さいごまでおつきあいいただきありがとうございました。
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